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2007.11.29 【福井】「通いアナグマ」お帰り
1 :キハ55@バルデスチルドレン12号(080110)φ ★:2007/11/28(水) 18:36:53 ID:???
秋。越前市の山間地に暮らす高齢夫婦の民家に2年続けて、アナグマが姿を見せている。
夫婦から手渡しで柿を受け取ると、おいしそうにほおばる。
昨年は1匹だけだったが、今年は子どもらしい別の1匹と計2匹で現れた。
冬眠のためか、1匹は山に姿を消したが、「来年も必ず元気に帰っておいで」と夫婦は願っている。(島田恵美子)

越前海岸にほど近い越前市西部の菅町地区。
明治期には10戸あった集落も、今では1戸のみ。柳下憲一さん(75)、君枝さん(72)の夫婦が2人で暮らす。

柳下さん宅にアナグマが姿を見せるようになったのは昨年10月中旬。
体長は40センチほど。目の周りと足の毛は黒いが、全体に薄い茶褐色。
最初は警戒していたものの、憲一さんが庭先の柿をもぎ、地面に転がすと喜んで口にした。
慣れると、手渡しで食べるようになった。それからは毎日のように、朝、昼、晩と一日に何度も姿を見せた。

可愛らしくなり、2人は「ポンタ」と名付けた。
名前を呼ぶと、山から下りて来た。柿をほおばる姿を写真に撮って枕元に置いた。

しかし、11月12日を最後に、ポンタは姿を見せなくなった。同15日は狩猟解禁日。
不安がよぎった。憲一さんは山に入ってポンタを捜し続けた。
君枝さんは毎朝、近くにある五つのお地蔵様に手を合わせた。

いつ帰って来てもいいように柿をむしろに並べ、冷凍保存もした。
「やっぱり捕られたのかな」「秋になったら帰ってくるよ」。落胆する憲一さんを、君枝さんが励ました。

アナグマはイタチ科の小動物。
本州、四国、九州の森林にすみ、地下に穴を掘って暮らす。夜行性で雑食。春先から初夏に子どもを産む。

そして今年。
柿が実り始めた9月27日夕。床下で「カサカサ」と音がした。ひょっこり1匹のアナグマが顔を出した。
体長30センチほど。ポンタより小さい。顔の特徴も少し異なる。
数日後、今度はポンタとよく似たアナグマが姿を見せた。
憲一さんが「ポンタ」と呼ぶと、振り向いた。涙があふれた。
それから毎日、2匹は現れるようになった。小さい方は「チビタ」と名付けた。

夫婦は2匹が軒下に姿を現すたび、柿の皮をむき、丁寧に切って手渡す。
1回に1匹で5~6個。ポンタはゆっくり味わうように、チビタは柿に手を添えてせわしなく口に入れる。
なくなると、催促するようにズボンを引っ張る。2匹とも甘い熟した柿しか食べない。
手がかかるが、「子どもと同じ」と2人は笑う。

ポンタは10月上旬ごろから姿を見せなくなった。現在はチビタだけが通って来る。
チビタの体長は40センチ以上になり、ポンタより大きくなった。
夫婦は今年も、いつ帰って来てもいいように収穫した柿の実を保存するという。

集落が2人だけになって約20年。
憲一さんは数年前から心臓に病気を抱える。
集落を出て行くことを何度も考えたが、ポンタとチビタが来年も来るかと思うと、出て行けない。
もうしばらく、ここで2人で暮らそうと考えている。
 

朝日新聞
http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000000711280003
画像
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